2016/08/01

これだけは読もう! おすすめ必読書TOP10(前編)


どうも~♪ 本のソムリエ(見習い補佐)のだるまです。


日頃から本を読んでいると、人生観を変えられてしまうほどの作品に出合うことがあります。たった1冊の本で、その後の世界の見え方が大きく変わってしまうのです。こういった本は自分だけでなく他の人たちにも読んでもらいたくなるものです。


なので、今回は私の人生観を変えた本を『これだけは読んでもらいたい必読書』として10冊紹介したいと思います。


※ちなみに小説などの「フィクション・物語系」の作品は別の記事で紹介しています。よろしければこちらもどうぞ~

⇒「発表!!おすすめ小説TOP10(前編)」

それでは、さっそくいってみましょう~♪

発表っ!!だるまのオススメ必読書TOP10(前編)※順不同です


①タオ-老子 / 加島祥造



あるがままに生きる


< 内 容 >


中国古典の「老子」を元に詩人の加島さんが自由に再現した作品。81章全ての訳が載っている。直訳にこだわっていないので、「老子」初心者に適した入門書となっている。


  • 美しいと汚いは別々にあるんじゃあない。美しいものは汚いものがあるから美しいと呼ばれるんだ。
  • 器は必ず中がくりぬかれて空になっている。この空の部分があってはじめて器は役に立つ。


< 感 想 >


よく老子の思想を「何もしないこと」と勘違いする人たちがいます。しかし、老子が言いたいのはそういうことではないでしょう。


日常の必要なことはやりつつも、『作為は捨て心の中を自由にせよ』ということを言っているのだと思います。


この本を読んでいると肩の力が抜け、気持ちが楽になります。くだけすぎていると感じる人もいるかもしれませんが、私には加島さんの訳が自然にすんなり入ってきます。


『周りに流されすぎてるかな』と思った時に、頭の中を柔軟にしてくれる特効薬になりますよ。


②「孫子」の読み方 / 山本七平



武士道のアンチテーゼ


< 内 容 >


中国古来の兵法書「孫子」を山本七平氏が解説。『兵書読みの兵書知らず』にならぬよう、古今東西の歴史と照らし合わせながら読み解いていく。


『戦いに勝つ軍は、まず勝ってその後に敵と戦う。一方敗兵はまず戦って、その後で勝ちを求める』


< 感 想 >


孫子の最大の魅力は「戦略の重視」だと思います。これはわかりやすく言えば『強気をかわし、弱気を叩く』ということです。


強者の要求や挑発を巧みにかわしながら、裏ではしっかり力を蓄え相手が弱体化するのを待つということ。そして時がたち政変や失策などで相手が弱ってきたところを攻めれば、こちらの損害は少なくすみ相手を早々に屈服させることができます。


日本人からすると『卑怯だ!』と思われそうな考え方ですが、孫子が重視しているのは結果です。国同士が本気でぶつかり合えば犠牲者は双方ともに甚大になってしまいます。結果から見れば、孫子の思想というのは比較的平和なものだと私は思います。


また、この考え方は「精神論の軽視」にもつながります。兵の良し悪しに頼らずとも結果を出せる ― そういった態勢を考えるのが上官の務めだということです。


この本は「真っ向勝負」や「精神論」を美化しがちな日本人にはぜひ読んでもらいたい1冊です。

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③哲学入門 / 竹田青嗣



地に足のついた生き方


< 内 容 >


真理を明らかにする試みは理性の性質ゆえに挫折せざるを得ない。理性は哲学者の直観を覆い隠し、論理矛盾を生み出しては複雑で難解なものへと変えていってしまう。


だが追求をあきらめ厭世観に浸ったり、快楽に溺れて生きていくわけにもいかない。個人のことだけが求められる社会では味気ないしか生きられないのだ。


我々は秩序を与えている人間の「心」の原理を解き明かし、他者や社会と相互に了解しあう可能性を見出さなければいけない。その可能性はそのつど創造され、人間関係の中で積み上げられていくものになるだろう。


世界はそれ自体としての秩序を持っているのではなく、心という原理がその秩序を作るのである。


< 感 想 >


哲学書はとても難しく、読んでも理解できないことが多いです。「~入門」と書かれているのに入門させてもらえなかったことも度々経験しました。


ところがこの本は違います。分かりやすさが重視され、哲学が身近で「役立つ」ものとして解説されています。前半は竹田氏の体験から導き出された哲学論を ー 後半は各時代ごとの代表的な哲学者の思想を紹介しながら、哲学の原理を明らかにしてくれています。


私自身、世界の複雑さに頭を悩ませていたこともありました。しかし竹田氏はそういったものをいったんカッコに入れ、視点を変えることを教えてくれました。


狂信的になるのでもなく、屁理屈ばかりのひねくれ者になるのでもない。前向きな欲望を活かしつつ、世界との関係を保ち生きていく ー そういったことから哲学をとらえていくのです。


竹田色の強い哲学解釈が多々あるかもしれませんが、この本を読んで初めて哲学に「入門」できたように思います。

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④意識は語る / ウェイン・リコーマン(編)



存在するすべては意識である


< 内 容 >


人は「意識」を所有するという観点で考えている。しかし実際は人を所有しているのが「意識」なのだ。全ての肉体と精神を所有し、その一つひとつを通じて生み出したいと思う行為を生み出すのが「意識」だ。そのためにおのおのの肉体と精神は特定の性質をもって受胎され、相応しい環境に生まれる。


人が自分の行為だと思っているのは、個人の肉体や精神が外側の出来事に対して反応しているにすぎない。我々にできることは、与えられた役割を能力のかぎりを尽くしてやることだけで、選択や結果はその手中にはない。


人生は非個人的な流れであり、「私」は自分の人生であれ、誰か他の人の人生であれコントロールすることができない。


これらのことは理性に頼ることなく受け入れられなければいけない。「それ」は手放したとき理解が深まる機会が与えられ、掴もうとすれば失ってしまうだろう。


< 感 想 >


この本を読むまで、悟りを開いた人は怒りや欲望が消失すると思っていました。しかしラメッシは、覚者であってもそういった経験は変わらないと言います。ただ、経験は同じでもそれに執着しない点で常人とは違うのだと教えられました。


またラメッシの教えは極端な運命論でもあります。例えば努力をするにも、その人の肉体と精神がそれを可能にする組み合わせで創造されていなければ(努力することも)叶わないのです。「運も実力の内」ではなく「実力も運の内」というわけです。


なので自己啓発のような心を制御しようとする行いには批判的です。物事は自然発生的に起こるもので、故意に改めるようなものではないのです。そういった試みはダイエット後のリバウンドのように、更なる苦しみや混乱を招きよせる結果で終わるのだそうです。


もし喜びが自分のほうへ来たら、それを心から受け入れてください。それが自分のほうへ来ないときは、それを追い求めないでください。


700p近くあるこの対話集にはラメッシの知恵と慈悲が溢れています。重要な箇所に付箋を貼っていくと、付箋だらけになってしまうこと間違いなし!です。

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⑤歴史とはなにか / 岡田英弘



イデオロギーを乗り越える


< 内 容 >


歴史というのは混沌とした世界に人間たちがある目的を持ってつむぎ出した物語だ。科学のような客観的なものではなく、人間たちがそれぞれの価値観で創りだした主観的なものにすぎない。


歴史は文化であり、人間の集団によって文化は違うから、集団ごとにそれぞれ『これが歴史だ』というものができ、ほかの集団が主張するものと違うということも起こりうる。


なので国によっては歴史を重視しない場合さえあり得る。「輪廻転生」の思想を持つインド文明がその代表だ。繰りかえし原初に戻る死生観の世界では、直線的に進む歴史という考え方は重要ではなくなる。  


岡田氏によると歴史を創り出せたのは中国文明と地中海文明だけで、この2つがベースになり他の(擬似)歴史が生み出されたという。本書には他にも日本史や世界史の異説が多数のっていて、とても刺激的なものとなっている。

< 感 想 >


この本では学校の歴史とは全くちがう視点で、新たな歴史を教えてくれます。一例をあげるなら中国文明の歴史で重視されるという「正統」についての解説がそうです。


この価値観では変化は認められず、「史記(司馬遷によって編纂された中国の歴史書)」の時代の天下との違いを書き記すことは許されないのだそうです。


天命を受けた正統の天子が治める天下には、時代ごとの変化があってはならない。もし変化があれば、それは天命に変動がある前兆になる。


確かに中国の通史を読んでいると同じことの繰り返しで、退屈になります。しかし、これは中国に発展が無かったわけではなく、「正統」にそぐわない部分は記録から消されてしまったということだそうです。


異論・反論はあるでしょうが、独自の歴史観をこのように自由に主張できる環境はとても大切なものだと思います。

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後編につづく・・・


※(前編)に引き続き(後編)でも刺激的な本を紹介したいと思います。そちらもぜひ、お楽しみください♪


⇒「これだけは読もう! おすすめ必読書TOP10(後編)」



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