2016/04/18

発表!!おすすめ短編小説TOP10(前編)


どうも~♪ 本のソムリエ(見習い補佐)のだるまです。


みなさん短編小説はお好きですか? 私は大好きですっ! 新しい短編集を手にするとワクワクします。面白い作品も多いですし、短時間で読めるので駄作だったとしても後悔しません(笑)


さて、今回は自分が「短編だけのオーダーメイド本」を作るならどんな作品を入れるかな~と想像したリストを紹介します。それではいってみましょう♪


発表っ!!だるまのオススメ短編小説TOP10(前編)※順不同


① 山月記 / 中島敦



< あらすじ >


臆病な自尊心から人食い虎になってしまった李徴。林中でかつての友人に襲いかかろうとするも、寸前のところで踏みとどまる。再会を懐かしむ友人に李徴はある願いを託す・・・

< 感  想 >


人の思いというものは外面だけ見ていてもなかなかわかりません。一見むっつりと怖い顔をしている人が、実は臆病な心の持ち主だったりするのです。李徴は極端だとしても、こういった表裏を持っている人は多いのではないでしょうか。


『己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。』


そもそも羞恥心と自尊心は表裏一体で切り離すことはできないように思えます。かように人間の心というものは複雑なものなのです。しかし虎になった李微が友人に託した願いも、その心から生まれたものでした。


李徴の最後の姿は悲しいけれど、私にはなぜだか美しく思えてしまいます。


② 魔 術 / 芥川龍之介



< あらすじ >


インド人のミスラ氏から魔術を教わった主人公は、友人たちとの団らんの場でそれを披露する。『魔術を使うときは欲を捨てよ』と忠告されていたのだが・・・

< 感  想 >


「欲心」を捨てることの難しさを描いた名作です。

何かを求める時に原動力となった欲心が、願いが実現しようとした時に邪魔になる。どこかでそれを捨て去らなければ願いは叶わないのですが、これがなかなか難しいのです。しかも願いが大きくなればなるほど邪魔をする欲心も大きくなってしまいます。


『魔術を習おうと思ったら、まず欲を捨てることです。あなたにはそれが出来ますか。』


ミスラ氏のこの問いは人生全般で問われている難問のように思えます。富にしても人間関係にしても、望みどおりのものを得るためには手放すことから始めなければいけないのです。

①に戻る

③ 目黒のさんま / 興津要(編)



< あらすじ >


目黒に行ったときに食べたサンマの味が忘れられないお殿様。帰ってきてからもサンマが食べたいと望むが、サンマは「下魚」なので家来たちは困り果て・・・

< 感  想 >


庶民の暮らしを知らぬ、お殿様のほほえましい勘違いのお話。小説というか落語です(笑)。しかし、この話は本当に面白いのでぜひ読んでもらいたくて入れました。


『周りに依存しすぎていると、ごく簡単なことすらわからなくなるよ』― ということを教えてくれています。それにしても、このお殿様はかわいくて好感もてます(笑)


『ああさようか。予も腹ぺこじゃ。さんまで一膳茶づりたい。さっそく支度いたせ。』


『本で落語?』と思う方もおられるかもしれませんが、違和感のない文章なので十分楽しめると思いますよ。

②に戻る

④ 無関係な死 / 阿部公房



< あらすじ >


家に帰ると自分の部屋で見知らぬ男が死んでいた。何者かが自分に罪を着せようとしていると思った主人公は、警察に通報せずに死体を処理しようとするが・・・

< 感  想 >


この短編はとんでもない状況から始まります。「死んでいる男は誰なのか、なぜ死んでいるのか、なぜ自分の部屋なのか」ー 全てが謎です。


身に覚えがないということは、彼の身になってみなければ分からないことだ。事実もそのかぎりでは、直接に体験したものの内部だけで終わってしまう。


だからこそ他人に証明しようとあくせくしたり、それが不可能だとわかったときには誤魔化そうとしてしまいます。そして、その細工が空回りして事態をますます悪化させてしまうのです。


シンプルに考え行動に移していれば案外上手くいったりするものですが、それが難しい性格の人間は多分にいるのです。

③に戻る

⑤ 薬菜飯店 / 筒井康隆



< あらすじ >


先祖代々「食医」の主人が営む中華料理店があった。その店の料理は食べるだけで体中の悪いところを治すことができるという。半信半疑ながらも食べ始めた主人公だったが、徐々に体に異変が起きはじめ・・・

< 感  想 >


食事と排泄が一体となった作品です。体の部位、症状ごとに料理があるのがいいですね。美味しく食べて、気持ちよく(?)排泄するだけで健康体に戻してくれるなんて夢のようです。


だばだばだばだば、だぼだぼだぼだぼと、その黒く重い粘液はバケツの中に音を立てて落ちていった。


ちょっと汚い表現が多いですが、読んでいるうちに不思議と体がスッキリしてきます。こんな店があったら 排泄・・・食事してみたいけど、他の客と一緒には食べたくないかな(笑)

④に戻る

後編につづく・・・


※(前編)では国内5作品を紹介しました。(後編)では海外5作品を紹介したいと思います。引き続きお楽しみください♪


⇒「発表!!おすすめ短編小説TOP10(後編)」



0 件のコメント:
コメントを投稿