(前編)に引き続き(後編)も見ていきましょう~♪
※まだ(前編)を見ていない方はそちらも見てくださいね。
⇒「これだけは読もう! おすすめ必読書TOP10(前編)」
それでは残りのおすすめ5作品もいってみましょう!
発表っ!!だるまのオススメ必読書TOP10(後編)※順不同です
⑥ 日本人のための憲法原論 / 小室直樹
憲法を学べば日本が見える
< 内 容 >
『憲法とは国家権力を縛るために書かれたもの』 ― ということすら理解していない日本人は多い。そこで本書ではまず西洋史を紐解きながら、民主主義が発生する過程から教えていく。
ここでカギになるのは、民主主義を根づかせるためには「キリスト教の精神」が土台になければいけないということ。
神の目からみたら、王も平民も大した違いはない。しょせんは原罪を背負った神の奴隷に過ぎない。
民主主義とは『人はみな平等だ』という理想から生まれたのではなく、全ての人間に対する一種の軽蔑から生まれたものだった。そして、この「精神」を共有できない国は民主主義を根づかせることができないのだ。
< 感 想 >
キリスト教圏ではない日本では、キリスト教の代わりとして「天皇教」を用いることになりました。このことが戦前・戦中の軍部の暴走や、現在の日本人の「憲法オンチ」にもつながっています。
・・・日本においては、君主が神であるとされた。現人神である君主をどうやって縛ればいいかという大問題が生じてくる。
急ぎ足で近代化を目指したことが、日本人の憲法理解を妨げてしまいました。しかし、天皇に代わる支柱など簡単に創り出せませんし、支柱無しでは精神的に不安定になってしまうでしょう。頭でいくら理解していても、心がついてこなければ意味がないのです。
結局この心(精神)についてもっと掘り下げていかないかぎり、これからもさまざまな問題に悩まされることになるでしょう。日本の憲法も外国の憲法も、同じ「憲法」という言葉で現していますが中身(精神)は全く別物なのです。
そのことが日本と他国の「憲法」に対する向き合い方の違いに現れているのだと思います。改憲論争が盛んないま、ぜひ読んでおきたい1冊だと思います。
⑦ 日本の盛衰 / 堺屋太一
革命なくして日本の復活なし
< 内 容 >
明治以降の日本に共通する特徴は「官僚主導体制」と「東京一極集中」、つまり規格大量生産に適した社会だった。そのため教育やマスコミ、産業界など日本中が国の強い影響下に置かれてきた。
しかし21世紀になる直前に時代は大量生産型の社会から「知価」が尊ばれる社会へと変貌していく。前時代の価値観に適応した日本は、この時代の変化に翻弄されることになった。
「知価社会」では、人々の求めるものが客観的に把握しやすい物財から、主観的な満足へと変わっていく。そして今、その価値観が原動力となり新しい社会が形作られようとしている。
< 感 想 >
知価社会では多様性が重宝され、規制や効率は二の次になっていきます。日本の「官僚主導体制」や「東京一極集中」はもはや利点より害のほうが大きくなっているのです。
私はこの本に出合うまではマスコミに流され、日本の抱えている問題は政治家に原因があると思っていました。しかし、よくよく考えてみれば政治家は国民が選んだ代表です。時代に合わなくなれば失職させることもできます。
けれど官僚はそうもいきません。政治家たちと違い顔や名前も見えにくいですし、情報の大半を手中に収めてしまっています。今では本当に警戒すべきなのは東京に巣くっていて、国民が影響力を与えることのできない官僚たちなのだと考えるようになりました。
堺屋氏はこの日本の状況を打開するためには表面的な「改革」ではなく、明治維新のような「革命」が必要だと訴えています。つまり形だけでなく精神から変えなければ、日本に輝ける未来は訪れないということです。
日本が必要としているのは、明治維新のような倫理観と美意識の変革、いわば「文化」を変える「革命」である。
⑥に戻る
⑧ ことばと文化 / 鈴木孝夫
ことばの裏に文化あり
< 内 容 >
多文化との比較で有効なのは、まずはそれぞれの言葉の構造を知ることだ。なぜなら人間が世界を把握しようとするときに窓口になるのが「言葉」だからだ。
世界の断片を私たちが、ものとか性質として認識できるのは、言葉によってであり、言葉がなければ犬も猫も区別できないはずだ。
『世界のどの部分に焦点をあてて意識することが人間にとって都合がいいか』 ― ということを表しているのが言葉だ。これは一種の虚構だが、人間の生活を維持するためには必要な虚構なのだ。
また、この「都合」は国によっても変わってくる。そこで本書では外国語と日本語を比較することで、日本人が世界のどの部分に焦点をあて重視しているのかを解き明かしていく。
< 感 想 >
言葉が我々の認識に制限を与えているように、文化もまた言葉の生成に制限を与えています。外国語を直訳しても日本語の用法と完全に一致しないのは、それぞれの言葉の裏にある文化が違っていることが原因なのです。
では、日本語と外国語の用法の違いからわかる日本人の文化とはどういったものなのでしょうか。その1つは『自分を相手に没入させ、自他の区別をなくそうとする』というものだそうです。
日本人は相手の気持ち、他人の考えを顧慮する前に、一応自分としてはこう思うという自己の主張の原点を明らかにすることが、どうも苦手のようだ。
日本人は欧米人に比べ「事物」よりも「人間関係」を強く意識しやすいということでしょう。しかし、これだと明確な軸がなくなり、話す相手によってコロコロ意見が変わってしまいます。
日本人同士なら問題は起きないのですが、外国人相手だと『二枚舌の卑怯者!』と勘違いされてしまうでしょう。それだけに自国の文化について学び、自分たちの癖(クセ)を把握しておく必要があるのです。
⑦に戻る
⑨ 仏教・神道・儒教集中講座 / 井沢元彦
文化の根っこに宗教あり
< 内 容 >
日本人に馴染みの深い宗教を中心に解説している。日本人の場合、特に重要になるのは「怨霊信仰」だろう。実は大半の日本人は「怨霊信仰」の影響下にあり、日常の判断にも浸透しているのだ。
尽きせぬ恨みを抱いて死ぬと、その恨みが現世に対してさまざまな災厄(※飢饉や疫病、不作など)をもたらします。
「怨霊」の発生を防ぐために「和」を乱すことを嫌うようになり、「言挙げ」にも注意するようになる。それが重要なことであっても人を不快にさせるような発言を控えるようになっていく。
その結果 ― 危機管理に疎く、海外で主張できない日本人が増え、外交問題をも引き起こしてしまうことになるのだ。
< 感 想 >
「怨霊」というものが実際にあるかどうかではなく、『それを信じる人たちに多大な影響を与えている』ということが問題になるのです。さらに厄介なのは大半の日本人にその自覚がないということです。
「怨霊」を恐れて大人しくしているだけなのに、『日本人特有のやさしさ』だと勘違いしてしまうことも起こり得ます。それを裏返せば『外国人は野蛮だ』という考えにもなり、争いを生み出しかねません。
また、日本では論争より「話し合い」が好まれます。「話し合い」というのは事実よりもその場の人間関係(和)を重視します。この価値観は談合などを生む温床にもなり得ます。
ただ「和」も決して悪いことばかりではありません。日本の治安が世界でも群を抜いて良いのは、この「和」のおかげでもあるのです。「和」を丸々捨てるのではなく、まずは自分たちの宗教観を意識することから始めれば良いのだと思います。
⑧に戻る
⑩ 日本教の社会学 / 山本七平&小室直樹
日本人の行動原則とは
< 内 容 >
日本人の宗教観の核心に迫った、山本・小室両氏の対談本。「契約」に縛られている欧米、「歴史」に縛られている中国・朝鮮 ー そして、それらとは違う価値観を持っている日本。
作為を嫌い「自然」を好む日本人は特異な自由観を持って生きている。また「自然(さ)」は「空気」を生み出し、この国で絶対的な力を持つようになる。
「それが空気だ!」ということになると誰も反対はできず、逆らうことはとんでもなく悪いことだとされる。
そこで本書では「空気」の発生過程から、それを支えている価値観まで徹底的に分析していく。そのことによって「空気」が日本社会に与えている影響が見えてくる。
< 感 想 >
本来「空気」というのは理路整然とした対話には不向きです。それにもかかわらずキリスト教などとの対比によって、同一の機能をしている対応物を探しだして説明してくれています。山本・小室両氏には本当に頭が下がります。
さて、この本を読むときに気をつけたいのは『日本が間違っていて外国の基準に合わせなければいけない』などと誤解しないことです。良い悪いという話ではなく、『現実として違いがそれぞれにあり、それを把握せずに生きていくのは危険だ』ということでしょう。
会社がどうかなっちゃうんじゃないかって一生懸命やる(※欧米化する)と、共同体を壊しちゃいますよね。
日本人の生きる道は今の延長線上にしかありません。しかし「空気」を放置しておくと、先の大戦時のような暴走を繰り返すかもしれません。なのでこの本が多く読まれ、現実と「空気」の橋渡しができる人が1人でも増えることが日本を救うことにつながるのだと思います。
⑨に戻る
あとがき
いかがだったでしょうか。現時点で私が、特におすすめしたい本を10冊選んでみました。
(前半)は「人類共通の問題」についての本を選びました。日本人が解説しているものが多いですが、そのほうが最初は理解しやすいと思います。慣れてきたら外国人の書物にも挑戦するといいでしょう。
(後半)は「日本」に関する本ばかりですが、『日本人なら日本のことを知らなければ』と思い選びました。
このブログをきっかけに、1冊でも身になる本が増えることを願っています。それでは、楽しい読書ライフをお過ごしください♪
0 件のコメント:
コメントを投稿