2016/04/27

学校の歴史が嫌いな人でものめり込む【おすすめ本3冊】


どうも~♪ 本のソムリエ(見習い補佐)のだるまです。


みなさんは学校の歴史は好きですか? 私は・・・・・大っ嫌いでした!全教科の中でダントツで嫌いでした!つまらない上に暗記ばかり強要され、苦痛でしかなかったです。


しかし!そんな歴史嫌いな私が今では歴史に興味を持ち、その面白さも理解できるようになったのです。それは教科書の歴史から離れ、自分で見つけた歴史の本を読むようになったからです。学校のミイラのような歴史とは違って、本で読む歴史は非常に刺激的で生き生きとしたものでした。


そこで今回は、学校で歴史嫌いになってしまった人でも歴史に興味を持ち、その面白さに触れることができそうな本を選びました。それではオススメ本3冊を紹介しましょう♪


① 日本を創った12人 / 堺屋太一



人が歴史を動かす


< 内 容 >


この本では日本史の分岐点を創りだした12人を紹介することで、日本史の特異性を教えてくれる。紹介される人物は幅広く、大胆な解釈によってまとめられている。


例えば「光源氏=当時の貴族たち」の暮らしぶりの影響が、日本でワンマン型のリーダーが受け入れられない理由として挙げられる。その結果、日本ではものごとが組織全体の雰囲気(空気)で決定され、責任の所在が分からないことが多くなるわけだ。


また「石田梅岩」の思想は鎖国中の環境で生み出された特殊なものだったが、今でも生産性を無視した長時間労働など、日本人の ”労働信仰” として生き続けているという。このことが大局を見たり、遊びを楽しむのがヘタな日本人を大量に生み出すことにつながっていく。


勤勉と倹約を両立させるためには、生産性を下げるだけでなく、人の気がつかない細部にまで目を行き届かせるほどの勤勉さでわずかでも付加価値を上げようとする。


< 感 想 >


学校の歴史がつまらない原因の1つ目は「主人公がいない」ということです。歴史の教科書にでてくる人々は暗記の対象であって、主人公ではありません。ただ知識が並んでいるだけでは退屈ですし、想像もしづらいのです。


教科書は複数の執筆者によって「公平性」を重視して書かれているようですが、全体的にのっぺりとしていて面白みが無いですね。この本は堺屋氏一人によって通史のような形で書かれているので、文章が生き生きとしていて頭に入ってきやすいです。


また、個人的には”判官びいき”のせいで影が薄くなってしまっている「源頼朝」と「大久保利通」が選ばれているのがうれしいです(義経や西郷がなぜ人気なのかさっぱり理解できないので)。


日本史をおおざっぱに学びたいなら、まず最初に読んでおきたい1冊だと思います。


② 日本史集中講義 / 井沢元彦



流れが見えれば歴史がわかる


< 内 容 >


歴史の流れを知るためには史料だけではなく、推論が必要になる。歴史の点と点を推論によってつなげるのだ。この本では、たくさんの事例が歴史の流れを重視しながら紹介されている。


例えば日本独自の政治制度「朝幕並存(朝廷と幕府が共存している状態)」だとどうなるか。他国なら強者が弱者を滅ぼして権力は一元化されてしまうが、日本ではそうはならなかった。それはなぜなのか。


井沢氏はこの謎を「ケガレ」という考え方で説明していく。「ケガレ」とは物質的な汚染である「汚れ(よごれ)」とは違い、精神的な汚染のことだ(血や病・死に関わることは周りに異常をもらすとされ敬遠される)。


この「ケガレ」を嫌った平安貴族たちは、軍事や警察などの仕事を放棄していく。しかし、現実には誰かがその役割を果たさなければならない。そこで、それを補う形で武士が誕生する。この貴族と武士の独特の緊張関係が「朝幕並存」を生み出すことになったのだ。


武士の側に自分たちはケガレ仕事をしているケガレた人間だという劣等感があり・・〈中略〉・・彼らを殺す方向にはどうしてもいかなかった。


< 感 想 >


学校の歴史がつまらない原因の2つ目は「流れがわからない」ということです。教科書では歴史の流れがブツ切りにされてしまっているので、過去の出来事のつながりがよくわからないのです。


先に紹介した堺屋さんの本もそうですが、この本でも歴史の流れが重視されていて、つながりがよくわかります。歴史を学ぶ場合この流れを意識することがとても大切になります。上記の「ケガレ」もさまざまな問題につながっていると思います。


日本の墓・葬式文化などもそうでしょう。日本古来の神道が死に関わることを拒み、仏教・儒教に外注してしまったのもこの思想が原因でしょう。明治以降には靖国神社を造ることによってこの問題の解決を試みましたが、日本の敗戦によって宙ぶらりんになったままです。


さらに、この思想は部落差別という現在にまで続く問題をも生み出すのですが、それもまた歴史の流れを注視しなければ理解しづらいことだと思います。



※この本が気に入りもっと詳しく井沢史観を読みたいという方は、ぜひ「逆説の日本史シリーズ」も手にとってみてください。きっと驚きの連続だと思いますよ!


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③ 歴史とはなにか / 岡田英弘



イデオロギーを乗り越える


< 内 容 >


歴史というのは混沌とした世界に人間たちがある目的を持ってつむぎ出した物語だ。科学のような客観的なものではなく、人間たちがそれぞれの価値観で創りだした主観的なものにすぎない。


歴史は文化であり、人間の集団によって文化は違うから、集団ごとにそれぞれ『これが歴史だ』というものができ、ほかの集団が主張するものと違うということも起こりうる。


なので国によっては歴史を重視しない場合さえあり得る。「輪廻転生」の思想を持つインド文明がその代表だ。繰りかえし原初に戻る死生観の世界では、直線的に進む歴史という考え方は重要ではなくなる。  


岡田氏によると歴史を創り出せたのは中国文明と地中海文明だけで、この2つがベースになり他の(擬似)歴史が生み出されたという。本書には他にも日本史や世界史の異説が多数のっていて、とても刺激的なものとなっている。

< 感 想 >


学校の歴史がつまらない原因の3つ目は「前提を疑えない」ということです。学校の歴史は受験での問題作成のしやすさが優先されているので、答えは常に決められています。学生がそれを疑い、別の視点から考えようとするのは無駄だとされてしまいます。


しかし、手段にすぎない受験を目的にしてしまっては本末転倒というものです。この本では学校の歴史とは全くちがう視点で、新たな歴史を教えてくれます。


一例をあげるなら中国文明の歴史で重視されるという「正統」についての解説がそうです。この価値観では変化は認められず、「史記(司馬遷によって編纂された中国の歴史書)」の時代の天下との違いを書き記すことは許されないのだそうです。


天命を受けた正統の天子が治める天下には、時代ごとの変化があってはならない。もし変化があれば、それは天命に変動がある前兆になる。


確かに中国の通史を読んでいると同じことの繰り返しで、退屈になります。しかし、これは中国に発展が無かったわけではなく、「正統」にそぐわない部分は記録から消されてしまったということだそうです。


異論・反論はあるでしょうが、独自の歴史観をこのように自由に主張できる環境はとても大切なものだと思います。

②に戻る

あとがき


歴史を学ぶ目的は何かといえば(単純に面白いというのもありますが)その文化圏共通の「癖(クセ)」を把握するため、というのが大きいのではないでしょうか。


自国の歴史から学び、大昔から受け継いでいる独自の考えや生活スタイルを意識すること。そして、その長所も短所も把握しておくことで同じ過ちを繰りかえさず、魅力を伸ばしていけるようになるのです。


さらに他国の歴史と比較すれば、より自分たちの「癖(クセ)」がハッキリ意識でき、また他国との付き合い方も柔軟にしていくことができるのだと思います。


※そのためにはこちらの記事も役立つと思いますよ♪

⇒「文化を知ればトラブルも防げる【おすすめ本3冊】」


このブログの記事をきっかけに少しでも歴史に興味を持っていただけたら幸いです。それでは楽しい読書ライフをお過ごしください♪



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