2016/05/03

発表!おすすめ怖~い短編小説TOP10(前編)


どうも~♪ 本のソムリエ(見習い補佐)のだるまです。


以前に「短編小説TOP10」を発表しましたが、今回は背筋が寒くなるような怖~い短編小説を10作選んでみました。リアルでは遭遇したくないことでも、本でなら覗いて見たくなるのが人間の性ですね(笑)

※まだ「短編小説TOP10」を見ていない人は、ぜひそちらも覗いてみて下さいね。

⇒「発表!!おすすめ短編小説TOP10(前編)」


それではいってみましょう♪

発表!だるまのオススメ怖~い短編小説TOP10(前編)※順不同


① 顔面崩壊 / 筒井康隆



< あらすじ >


シャラク星に赴任することになった者に、自らの経験を伝える男。男は星での生活の危険性についてアドバイスをするが、次第に過去に遭遇した事故の話になっていき・・・

< 感  想 >


星での事故により顔面が崩壊してしまった男の話です。最初は事故から始まるのですが、次から次に男の顔に災難が降りかかっていきます。男は妙に明るく話しをしているのですが、内容は非常にグロテスクで生々しいものです。


・・・次にカミソリの刃を舌の先から2センチほど手前の、舌体の側面に当て、横にすうっと切断するのじゃ。


ドド豆の爆発・虫の来襲・精神の錯乱と不幸の連続で気持ちの悪い表現も多いのですが、どこかユーモラスでそれほど不快にもなりません。ただ食事前には読まないほうがいいと思います(笑)


② 牛人 / 中島敦



< あらすじ >


魯の名家の当主・叔孫豹は一夜の契りによって産まれた子・牛(ぎゅう)を秘書として迎え入れる。名家の跡継ぎとなる息子たちにも慇懃な態度を崩さない牛だったが、月日がたち叔孫豹の健康が衰えてくると密かにその本性を現しはじめ・・・

< 感  想 >


他人の心というものはなかなか読めぬものです。人を騙そうとする人間は、相手の警戒を解くために人当たりを良くします。叔孫豹も牛の愛嬌のある顔の裏に潜む残忍さを見破ることができません。あげくに実の息子たちを敵視するように仕向けられてしまいます。


その姿を上から黒い牛のような顔が、今度こそ明瞭な侮蔑を浮かべて冷然と見下す。


叔孫豹の一番の失敗は牛に権限を持たせすぎたことでしょう。特に財産や権力に関することでは、一人の人間を信頼しすぎないほうが良さそうですね。

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③ 人間椅子 / 江戸川乱歩



< あらすじ >


ある日、女流作家の佳子のもとに差出人不明の原稿が送られてくる。気味悪さを感じながらも読みすすめると、そこには差出人の男のある罪の告白が書かれていた・・・

< 感  想 >


生まれつき醜い容貌の持ち主であるゆえに、人との交流を持てぬイス職人の男。唯一与えられた才能を生かして、人の温もりを得る方法を思いつきます。


それは夢のように荒唐無稽で、非常に不気味な事柄でした。


日ごろ臆病な人間が、匿名でなら大胆な行動をとることがあります。ネット時代では痛切に感じることですが、この短編が書かれたのは大正時代です。変態を描くのが得意な乱歩ならではの先見でしょうか。

②に戻る

④ 冷たい森の白い家 / 乙一



< あらすじ >


叔父夫婦に糞まみれの馬小屋で虐待されながら育てられた男。やがて馬小屋からも追い出され、森で一人暮らすようになる。自分の家を作るために建材を探す男だったが、ある時一人の青年が現れ・・・

< 感  想 >


あえて感情の欠落したような文章で書かれている本作。愛情を与えられずに育った男は、愛情を理解することができずに次から次に人を殺していきます。しかし、その殺人行為にさえ悪意は全く感じられません。身を守るためや、必要にせまられて淡々と殺すのです。


痛みは半年つづいた。拾っていた顔のとれた部分は腐った。黒くなって臭くなった。ずっとそばに置いていた。


なんとも不条理で救いの無い話です。男が出会う少女たちとも、意思が通じそうで通じないのがやるせないですね。

③に戻る

⑤ 藪の中 / 芥川龍之介



< あらすじ >


藪の中で何者かに殺害された男の死体が発見された。犯人を捜索する検非違使は事件に関係する者たちに尋問を行う。だが深く関与したと思われる三人はみな『自分が殺めた』と白状しはじめ・・・

< 感  想 >


言葉というものは頼りないものです。思いを言葉によって全て表すことはできませんし、そもそも本人がどれほど自分の思いを理解できているのかさえハッキリしません。


いや、まだ誰かの泣く声がする。・・〈中略〉・・が、その声も気がついてみれば、おれ自身の泣いている声だったではないか。


また日常でも同じものを見ているのに、見ている人によって全く意見が食い違うことも多々あります。この短編もそういった価値観を共有できないことに対する不安、世界で一人とりのこされたような恐怖をジワジワと感じさせます。

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後編につづく・・・


※(前編)では国内5作品を紹介しました。(後編)では海外5作品を紹介したいと思います。引き続きお楽しみください♪

⇒「発表!おすすめ怖~い短編小説TOP10(後編)」



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